DADADA

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『絵本でほどいてゆく不思議』平凡社 2007年7月

 夫や私と同じく、我が家の子どもたちも、大学入学と同時に「合法的家出」をしました。18歳までを「子ども」とすると、私の約四半世紀、子ども3人で述べ54年間を、おかあさん業を本業として過ごさせてもらいました。
  勝手に決めた副業は読書です。そのかたわら洗濯して、買い物して、ごはんを作って、ちょっとだけ掃除してきました。本を読んで絵本を読んで、考えて、考えながら進める児童学、被服学、経済学、食物学、住居学。思えば家政学の具体的内容を網羅していたのがおもしろくて、家庭科の教科書のような目次立ての、絵本案内をつくってみました。
  装幀してくださった、造形作家のノニノコさん(ののちゃんとにこちゃんという2人のお嬢さんのお名前から)の大ファンです。
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『絵本をとおって子どものなかへ』童話館出版 2005年6月

 花を育てるときは花の気持ち、動物を飼うときは動物の気持ちがわかるといいなと聞き耳を立てるように心を澄ますのに、子どもを育てるときは、自分も「いつか来た道」だから、もう解っているような気がしてしまいます。それにしてはうまく行かないことが多いのは、なんでかなと考えます。
  子どもの気持ちの中に入っていこうとするとき、あるいは入らずにそっとしておこうとするとき、絵本は実用書として使えます。
  子どもについて考えることはまた、旅にも似ています。子どもが幼稚園や学校に行くこと、散歩や買い物、家でも冒険も「旅」で、絵本はそんな旅案内としても使えます。
 子どもは小さくてよし、大きくてよし、いくつになってもかわいくて、一緒にいたら、いつだって楽しいです。
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『可愛がられるために来た~子どもと暮らせば大人が育つ』学陽書房
2002年10月 品切れ


 大人が子どもにやらせたいことよりも、子どもに必要な可愛がりを優先させる、ベスコフが描くおばさんたちのこと。子育ての気分がずいぶん違ってくる自然なお産のこと。子育てとは「子どもが将来、自分の子育てをしたくなる気持ち」を育てている時間であることを書きました。
 働きたい女性の権利と便利を守ると同時に、子どもとぴったりくっついていたい母親の気持ちも、守られて欲しいです。子どもの幼い愛らしさが消えても、愛情は別のところに、別の形でつながっていくと思うと、子どもを可愛がっておくことほど、未来につながる仕事はないと思います。
 この本の装画は『わんぱくピート』(ポプラ社)、『ベーロチカとタマーロチカのおはなし』(福音館書店)の浜田洋子さんにお願いすることができました。
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『あかんぼぐらし Days with the Baby ~宝のときを楽しむ』学陽書房 2000年7月

 子どもを育てることの、平凡でありきたりな喜びについて、もっと語られたらいいなと願います。
 日常は、よいことづくめではありませんが、つらい側面が声高に言い立てられると、困ることへの共感ばかりがかきたてられます。あかんぼがせっかくやってきてくれたのに、大人たちがつまらなそうにしているなんて、申し訳ないし、楽しいことまでぶちこわしになります。
 腰を据えてあかんぼぐらしをやってみたら、その中には宝がごろごろ見つかりました。ちょっと見つかりにくい宝ではありますが、一旦手にすると、あとはいくらでも掘り出せる宝です。 母親でいることの、伴奏者のような軽やかな集中力についても書きました。

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『恋をする子ども~はなむけの贈り方』学陽書房 1999年11月

 はなむけというのは、お餞別の品や、お金や、詩歌のことで、旅立つ人の馬の鼻先を、行く先に向けたことから来ているそうです。別れの時が視野に入ってきた思春期の子に、私が贈ってやれるものは何かと考えて、この本を書きました。
 息子の旅立ちに際して、呪いの入った大きいパンと、祝福の入った小さいパンの、どちらかを選べという母親が、イギリスの昔話に出てきます。この母がイヤでした。「祝福入りの大きいパン」に、一体どんな不都合があるというのでしょう。なぜそういうけちくさい質問をするのでしょう。
 ところがよく考えてみると、知らない間に呪いの粉を大量に振りかけたゴハンを、子どもに食わせそうな私がいます。こと、性のお話になると。
 子どもに幸せな結婚をして欲しい。孫もたくさん欲しい。でも禁断の13番目の性の扉は、開けちゃダメ!と無理を言い続けるのが、私たち愚かな親なのかも知れません。
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『うれしい気持ちの育て方~絵本と私とシュタイナー』ほるぷ出版 1998年10月 絶版

 雑誌に掲載した拙記事をご覧になった編集者、細江幸世さんのお力で生まれました。 絵本の作り手である彼女から、知らなかった絵本のことを教わりながら、楽しく書き進めました。
 ピアジェの心理学を学んだ後、2人の子どもを観察しながら育てて、それを作品に活かした作家、シャーロット・ゾロトウの絵本で、人間の成長について考えました。
 子どものときから好きだったお姫さまの昔話から、「白雪姫」を取り上げて、いろんな画家の手になる絵本と、読み手の私の年齢による変化について書きました。
 科学絵本のことや、どんな親になりたいかということも、考えています。
 たくさんの絵本写真は『ごたごた絵本箱』『絵本いろいろお話いろいろ』に引き続いて、夫が撮ってくれました。表紙のあみねこは、私がつくりました。編み方も載っています。
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『幸せな子ども~可愛がるほどいい子になる育て方』学陽書房 1998年9月 絶版

 拙講演を企画してくださった方、足を運んでくださった方とのお話や、たくさんいただいた愛読者葉書をもとにしてできた本です。葉書の裏表に細かい字でびっしりとお便りを下さった皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。私の中にもある迷いを言葉にしていただいて、ハッとして、考えを進めることができました。
 子どもが3人いると、成長を輪切りにして見ることができます。 2人を比べて重い軽いを決めて、分かったような気持ちになっていたのが、違うこともわかります。自分の子どもとお友だちを見て、本を読んで、友人や夫と話して、児童学科で習ったことと、自分がどう育てられたかを思い出して、また本を読んで考えて考えて考える。同時に目の前でとんでもなく可愛いことを日々やってくれる子どもと過ごす。なんと忙しく楽しい日々だったことでしょう。この頃の本業は「おかあさん」でした。

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『私のまわりは美しい~14歳までのシュタイナー教育』学陽書房 1997年6月 品切れ

 1年間アメリカ西海岸に住んだ後、東海岸と西海岸に、それぞれ3か月ずつ滞在する機会を得て、 3人の子どもをシュタイナー学校に通わせました。私も授業を見学させてもらったり、給食のおばさんをしたり、保育を手伝ったり、折り紙を教えたりしました。その記録です。
 朝教室に入ると、先生が色数の多いチョークで、黒板いっぱいに描いておいてくださった絵に迎えられます。絵から始まる物語を聞きながら、学びの中に入ってゆく楽しさを、私も一緒に味わいました。 30人相手の、一回きりのぜいたくなライヴです。
 木のリコーダーを吹いたり、歌を歌ったり、ボール投げやなわとびやお手玉をしたり、劇をしたり、柔らかい色鉛筆でノートを美しく仕上げたり、えのぐでにじみ絵を描いたりしながら勉強が進んでゆきます。退屈や怠惰がありません。まっすぐでまじめで、働く手と心と頭がめきめきと育ってゆくのが、目に見える気がしました。

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『絵本いろいろお話いろいろ~母と子の読書術』 学陽書房 1994年10月

 少し大きくなった子どもたちのための、絵本とお話の案内です。大人に絵本を読んでもらうときから、自分で物語を読むときへの橋渡しを、うまくできたらいいなと思っています。「現実の暮らしが楽しくて、本などなくても充分しあわせ」というのが、健全な暮らしかも知れませんが、子どもも元気なときばかりではありません。私自身、本から得ている幸福があまりにも大きいので、この喜びをぜひ子どもに伝えたくて書きました。
 まずは大人が読んで粗選びをします。つまらないもの、説教臭いもの、感傷的なものをよけるだけで、だいぶ違います。探してみれば、子ども向けの本の中に、大人にとっても面白い本がたくさんあります。
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『七歳までは夢の中~親だからできる幼児期のシュタイナー教育』学陽書房 1994年7月

 夫の仕事のために、家族5人でアメリカ西海岸に住みました。そこのシュタイナー幼稚園にまん中の子どもを入れ、末っ子を連れて保育参加させてもらった一年間を綴ったのが、この本です。
 担任のジョイス先生に、たっぷり可愛がられて帰ってきた息子の周りに、「可愛がられてきた光」が見えるような気がすることがよくありました。「りーんりーんと音がして、お花の中から妖精さんが出てきた」という、彼が見た夢の話をしてくれたのも、このころです。
 シュタイナー幼稚園の空気を感じていただくために、うたの楽譜をたくさん入れました。おもちゃの絵とエピソード、ベスコフの絵本の話も入れました。
 おかげさまでこの本は、現在27刷です。
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『ごたごた絵本箱』 学陽書房 1990年10月 絶版

 まん中の子どもがお腹にいたとき、挟み込みリビング紙で「常陽新聞奥様レポーター」の募集を知りました。多分応募者全員合格で、好きなことを書かせて頂きました。
 常陽新聞の約三年分の記事のコピーを、出版社に送っては振られ、送っては振られ…五軒目にやっと拾ってくださったのが、学陽書房でした。「うちで本にしましょう。おかあさん編集者の藤谷三枝子さんに担当してもらいます」という、光行前社長からのお手紙を頂いた翌日に末っ子が生まれました。
 子育てに密着した絵本案内です。愛らしいカバーイラストと扉絵を描いて下さったのは、津々井良さんです。

 

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